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日米雑誌とPodcast 3行まとめ

村上福之 ソーシャルもうええねん 感想

著者の村上福之氏は、ここ数年間でのIT業界や、世界的潮流の最前線の動きを、いわゆるバズワードを使わずに徹頭徹尾、「地に足の着いた下から目線」で語りつくす。
しかし、彼が実際に手足を動かしてえた知見は、世界的なビジネス書で考察されてきたことと同じ視線を共有している。
例えば、あとがきに述べられた、日本の伝統的な民生家電の赤字化になっていく件は「フラット化する世界」で予言された光景だし、第3章のiPodを初めて見たパナソニック社員たちの当惑はまさに「イノベーションのジレンマ」だし、第2章での天災への募金を集める際の「見返りがないほうが募金が多い、というエピソードは、マイケル・サンデルの「あなたは、それをお金で書いますか?」に出てきた「スイスの核燃料廃棄物の処理場をお金で誘致しようとしたら逆に反感をかった」というエピソードを想起させる。
この著者の「複雑な概念を平易に言う」という能力は一見簡単なようだが、巷にあふれる「簡単なことを複雑に言う」人たちの数十倍スキルがいることだと思う。

タイトル
第1章 ソーシャルもうええねん
第2章 動いているものを見せれば大人は納得する
第3章 世の中、金ではどうにもならないことがたくさんある
第4章 最後によかったと思える人生を
感想