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伊藤洋一のRound Up World Now! / ITスペシャル「家電大手の今後について」 2013年2月8日 723回

今週のRound Up World Now!は富士通総研経済研究所の湯川抗さんを招いてのITスペシャル。ゲストを招いての回では、伊藤さんは聞き手としての腕の確かさにも唸らされる。今回も本音では結構過激なことを考えていると思われる湯川さんを上手くリードしながら、「最新のIT」の現実解を引き出している。

数年前まで亀山モデルで席巻したシャープがなぜ会社の存続危機に見舞われるほど、状況が変わったのか?(伊藤)
シャープは、単機能の量産モノである液晶に選択と集中を行ったことは、冷静に考えれば正しい選択ではないことが分かったはずなのに、それを止められなかった会社のガバナンスに何か問題があると思える。(湯川)

WIRED編集長のクリス・アンダーソン氏が提唱する「メイカーズムーブメント」の中で、数年後にはウォルマートで99ドルで販売される3Dプリンターを利用した21世紀の産業革命が起き、小規模でもグローバルに製造業が展開できる世の中が訪れる、と予測している。(湯川)
ハードウェア製造のハードルが下がる中で、有力なソフトウェアを持たない日本が苦境に経つのではと懸念される。(伊藤)

アンダーソンの本の中では、日本企業の弱点である「会社組織の今後」についても述べられていて、ものをつくるにあたって必要な人は「あなたのそばにはいない」ので、グローバルで見つけていく、という組織形態を予想している。それに対して日本企業は、変わる必要があるといわれ続け一見、背水の陣を敷いているように見えるが実際には危機感が無く、変化の兆しはまだない。(湯川)

感想:
クリス・アンダーセン的な、優秀な人には大きなチャンスが待っているが、平凡な会社員にとって生きづらい世界が、果たして幸福な社会なのだろうか?という疑念が、湯川さんのような人の口から出てきたことが興味深い。
グレートダイバージェンスといわれる史上最大の格差社会が産業社会の後に訪れたことを考えると、新しい技術にはワクワクしつつも一抹の不安も覚える。
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