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マイケルサンデル それをお金で買いますか 市場主義の限界 感想

マイケル・サンデルについて、一点どうしてももどかしく感じることは、日本では「ハーバード白熱教室」の印象が強く、あたかも彼がディベートを専門にした先生的な印象が強いことだ。

あの、内田樹氏でさえ意図的である可能性もあるが、この点において辺境ラジオでマイケル・サンデルを批判している。

だが実際には公平にディベートを誘導しているように見えて、彼は実際には強固な思想・哲学を持っており、そのコミュニタリアンとしての本質を、本作では隠そうとしない。

マイケル・サンデルは、様々な意見が別れる問題について、「そのもの本来が持つ美徳」という概念を提示して、本来の価値が安易な功利主義によって損なわれることや、リバタリアニズムが持つ自己欺瞞を明らかにしていく。

これを読むと、有名な、あなたは電車の運転手で、線路の上に線路の上に一人の男が倒れているのを見つけるが、安易に方向転換すると別の人を轢き殺すかもしれない。「さあ、あなたはどうするか?」という問いに対して、サンデルは明確な答えを持っていると言える。つまり、(自分の考えが正しければだが)一番大切なのは、轢き殺す人数の多寡や、轢き殺す人を選ぶことの理不尽さで判断するのではなく、選んだ結論に対し、社会の一員として自分で考えきちんと熟慮を重ねたか、が重要なのだということである。

タイトル
1章 行き過ぎた市場主義に対して我々がとるべき立場は?
2章 平等と公平の狭間で
3章 市場主義全盛時代において、市場が介入すべきではない分野について
4章 「行き過ぎた」生命保険を巡るビジネスと倫理について
5章 アメリカにおける「ステマ」に対するサンデルの回答
感想